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あいさつ

表紙の写真の作品は、2003年に制作したものです。
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“わたし“と”わたしに“についての思考を整頓すること


マウス画

昨日の続きです。

「ボームの思考論(デヴィッド・ボーム著)」より書き写しです。

ボーム「要点は、“わたしに“は常に限られているが、しかしわたしたちは“わたしに“は“わたしは有る“わたし“(I)と同じだと感じているということです。さて、これは葛藤を引き起こします。人々は「わたしは最も偉大である。わたしは最良である。わたしは最も素晴らしい。」と言う事を欲します。わたしたちは、この偉大な、明るい、輝かしいイメージを持っているのです。そしてそれから世界がやってきて、言います。「あなたはつまらない人間だ。思い違いしているだけだ。」それはそのイメージをすぼませ、ショックを与え、そして大きな苦痛を生じさせますーー快楽の空想は、等しく苦痛と恐怖と嫌悪の空想へと転じる可能性があります。空想の中では、あなたは本当にそういった全てに陥ることがありうるのです。

が、“わたし“と”わたしに“についての思考を整頓することーーそれを理にかなうようにし、首尾一貫させることーーは非常に困難です。人々は、“わたしは有る“と“わたしに“の間にあるこの矛盾をいかにして解消したらいいか知りません。人々は言います。「あなたはわたしを客体として扱うべきではない。わたしはそれを好まない。わたしは侮辱され、傷つけられてしまう。」そして社会は言います。「あなたは他の誰からも異なっているべきであり、客体として扱われるべきではないと誰が言っていると思っているのですか?あなたは自分が制限されるべきではないと思っている」けれども、“わたしに“は定義により(当然)客体なのです。

小児は、制限などなく、自分は万物だと感じるかもしれません。彼はその思考、その反射、その空想を形成します。それが現実の何かを反映しているかどうか、わたしたちは知りません。重要なことは、それが反射を築きあげて、「それは“わたしに(me)だ“と言うことです。彼は、それなしにアイデンティティを形成することはほとんどないでしょう。彼はまた、彼がなんであり、誰であるかを告げてくれる他の人々に依存します。いかに偉大で、明るい、輝かしい存在であると彼が内側から見ようと、外側からは必ずしもそうは見られません。他の人々はそれを支持してくれません。彼がごく幼い子どもの時は、彼らは彼を神様扱いするかもしれませんが、しかしやがてそうしなくなるときが突然訪れます。

かくしてあなたは、このとてつもなく大きな葛藤を抱え込みます。あなたは、フロイトが自己愛的イメージと呼んだものを持つのです。ギリシャ神話に登場するナルキッソスという青年は美しい容姿を備えていましたが、彼に恋をした精霊のエコーに冷淡に振る舞ったことで女神メシスの怒りを買ってしまい、自分の姿に恋い焦がれるという罰を受けます。彼は泉に映っている美しい顔が彼自身のイメージであることに気づかず、それに見惚れてしまいます。が、彼は決してそのイメージに近づくことができず、とうとう痩せ衰えて死んでしまいました。皮肉にも、彼は自分が切望していたものをすでに持っており、彼はすでに自分が切望していたものであったのです。しかしながら、彼はそれを信じようとしないか、または容認しようとしませんでした。彼は「それはわたしが必要としている他の誰か」だと言ったのです。

要するに、わたしたちが空想の中でこの自己イメージを生じさせる時、それはそれ以後切望される事物になるということです。そしてわたしたちは「それはわたしからずっと離れたあそこにあり、そしてわたしはそれに到達しなければならない。」と言います。が、これはもう一つの空想、もう一つのイメージです。そしてそれは「わたしはそれを持つ必要がある。」いう感情を引き起こします。

必要(必然)性の感覚は、人事の中で最も大きな威力を発揮します。あなたはそれを解消することができません。そして子どもは、このイメージから自由になり、このイメージに束縛されることを免れる術を、ーーわたしたちの現在の社会の中でも、わたしたちが知っているいかなる社会の中でも、ーー多分、決して本当に学ぶ事はありません。

それゆえ、そのイメージに穴を開けられるとき、子どもは傷つきます。この偉大で、輝かしい、まばゆい存在についての空想は、それから、軽蔑され、見下され、限られたーー高の知れた、等々のーー誰かについての空想へと転じ、それは傷を負わせられます。するとそれは、自分がいかに偉大かを他の人々がわたしに告げる必要を生じさせ、そしてそれは「わたしは、いかにわたしが偉大かについての証拠を、わたしが行うことまたはわたしが所有するもの、等々によって確保する必要がある。」という感覚を引き起こします。

これは非常に強力です。人事はそういった全てによって非常に強力に支配されます。そして誇大妄想患者は、アレクサンダー大王がしたように、「わたしは、わたしか何者であるかを示すために、世界を統治しなければならない。」と言うでしょう。彼も彼の母親も、彼の父親と決して折れあわなかったと噂されていました。彼は母親と同一化し、そしてどういうわけか父親を憎むようになりました。多分、彼は、いかに自分が偉大かを父親に示すことの強い必要性を感じ、したがってそうするために彼は世界を征服したのです。そしてそれから彼がそれを実行した時、彼は非常に悲しくなったと言いました。なぜなら、征服すべき世界がもはやなくなってしまったからです。言い換えれば、彼は世界を征服し続けなければならず、決して止めることができなかったのです。なぜなら、彼はそのイメージをいつも養わねばならなかったからです。」

ーーーー(質問者が哲学者のディオゲネスとアレクサンダーについて話します)

ボーム「多分、アレクサンダーは、常々、自分の生き方がどこか真実ではないと薄々気づいていたのです。つまり、彼は愚かではなく、それどころか、実は非常に聡明だったということです。が、彼はこのイメージにとらわれていましたそして彼は、そのおかげでとてつもない権力を持っていました。人々は、彼がそのような権力を持っていたので、彼のためにはどんなことでもする気になったでしょう。あなたは、どのようにこの全部が作用するかを見ることができます。誰もが、挫かれてきたこの同じイメージを持っています。・・・わたしたちはこのすべての想像と空想の力を見ることができます。世界中で、その種のことがそれと似た影響を生じてきました。ヒットラーがおり、そしてありとあらゆる種類のその他の人々がいました。かくして私たちはこの問題を解消せずにきたのです。」


アレクサンダーが世界を統治しなければならなかった
その理由が面白いですね。

いつか記事にしようと保存してあった
ツイートを採用する日が来ました。
ビル・ゲイツが子供の頃のいじめが理由で
世界を破壊したくなったとしたら、どうでしょう?
わたしには妙に説得力があります。

ナカムラクリニック@nakamuraclinic8

「中学時代にビルゲイルをいじめた奴は、とにかくビルのところに行って謝って来い。"あのときのイライラを76億人相手にやつあたりするのはやめて下さい"と。トラウマで悶々としてる男だからね」
中学時代のトラウマが原因で地球人口の削減を決意´Д`
https://twitter.com/AliBeckZeck/status/1259958873219387393



つづく


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