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あいさつ

表紙の写真の作品は、2003年に制作したものです。
尚、当ブログの記事の引用・転載は必ずリンクを貼ってください。


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科学者はアブダビ砂漠で多くの嵐を作りだしているのか?

以前からの読者の方はご存知のように
砂漠地帯の中東で豪雨、洪水が起きるようになり、雪まで降るようになりました。
それに関するナショナル・ジオグラフィック・ニュースを先週みつけて、
yasuさんに翻訳してもらいました。



Scientists Make Dozens of Storms in the Abu Dhabi Desert?
科学者はアブダビ砂漠で多くの嵐を作りだしているのか?
人造雨雲だという主張に疑惑の声
ナショナル・ジオグラフィック・ニュース 2011年1月18日


◯世界的な水の供給についてのスペシャルナショナル・ジオグラフィック・ニュース・シリーズの一部です。

乾燥した国においては、真水を魔法のように作り出す能力は貴重なものに違いない。スイスのメテオシステムズは、現在気象調節システムを使って大金を獲得しようと用意しているが、その技術は昨年の夏に砂漠で多くみられたにわか雨の原因であるという論争の的になっている。

その主張を確認するのは難しいが、多くの主な気象調節のエキスパートの間からは疑惑の声があがっている。「私の知る限りこの主張は信じられない」と、National Center for Atmospheric Researchの国際的な気象調節プログラムを率いるRoelof Bruintjes氏は述べている。「科学的根拠はまったくなく、物理学はそれを支持しない。」

典型的な気象調節は、20世紀半ばにアメリカから中国で継続されているが、それは自然の雲を利用して「種をまく」ことで雨を降らせようとする。一方メテオシステムズは雲それ自体を作り出すと主張している。会社によると、そのシステムは33フィート(10メー ター)の複数の電気タワーを使用して、強烈なマイナスイオンを 作り出す。これらのイオンは小さな固体や液体の微粒子と結びつき、過剰にチャージされた粒子が雲を作り雨を降らせる。

気象調節エキスパートであるJoseph Golden氏は、過去に行われた海洋大気局(NOAA)による大気の調節プログラムを統括していたが、彼はこの技術が実際に作用したのかどうかに重大な疑問を抱いている。「この方法では希薄な空気から雲を生みだすことは本質的にできない」とGolden氏は言っている。

◯イオン化の長い歴史

ミュンヘンTechnical UniversityのPeter Wilderer氏 (2003年のストックホルムウォータープライズを獲得)によれば、人々は数十年間の間電離技術を試みてきたと言う。「イオン化の技術は、ニコラテスラが1890年に最初に言及した。1946年に、ゼネラル・エレクトリックが、バーナード・ボネガット(小説家カート・ヴォネガットの兄弟)のリーダーシップの下でいくつかの野外実地試験を実行したが、その後、その技術は旧ソ連で軍事目的に使用された。」

Wilderer氏は、レーダー画像の調査からすれば、適切な気象の条件の下ではイオン化の成果が少しはあるかもしれないと付け加えている。しかし報道された記事はあるのに、彼はメテオシステムズによって作られた降雨を個人的に目撃したことはないと言う。

◯私にデータを示してほしい

NOAAのGolden氏は、砂漠で雨を降らせようとしている科学者から、ぜひ話を聞きたいと思っている。「私は、このプロジェクトに関してこういう主張する誰に対しても意義を唱える。私にデータを見せて欲しい」彼は言う。このようなデータの公開はありそうもないが、メテオシステムズは潜在価値のある技術の秘密を厳しく保護しているので、会社は「WEATHERTEC」と呼ばれている。Meteoシステムズは、ナショナル・ジオグラフィック・ニュースからの電話やメールに応じようとしなかった。

マックス・プランク気象学研究所の理事らは、メディアに誤ってこのプロジェクトに関係があるとされてきたが、科学的な組織がメテオシステムと関係があるとされたことによる「苦痛」を示す声明を発表した。 彼らは暴風雨が作年夏の中東での異常気象パターンの一部であると付け加えている。「私たち研究所はこの研究にいっさい関係していないし、また彼らがその主張を支持するのに使っている基礎的証拠にも関与してもいない」と声明は述べている。

「さらにメディ アに報告されている信頼できる主張をみると、多くの人々が金融的な利害関係を持っている。そしてあの地域の昨年夏のにわか雨の範囲は異常で、より広範囲の異常な天候パターン従っていたが、それはアブダビにおける局地的な実験とは全く関係がなかった。近隣のパキスタンでの恐ろしい氾濫を思い出してみる必要がある。」

◯神のようにふるまうこと

NCARのBruintjesは、国連に基づいた世界気象機関(WMO)の気象調節研究中のエキスパートチームが2010年3月にアブダビで会合を開き、この種の技術に慎重な科学情勢に関する報告書を出した。「気象システムに含まれるエネルギーは非常に大きいので、雨雲を作ることはできない。」とWMO報告書からは読み取れる。「そのような大規模で劇的な効果を達成することを主張している気象調節技術は、科学的根拠(hail-あられ- cannonやイオン化の方法などの)を持っておらず、疑ってかかるべきだ。」

「自然からただ奪い取る事に死にものぐるいの人々は、WMO報告書の中で言及されたhail-あられ- cannonを含む、証明もされていない気象調節技術に代価を払う。あられを抑えるためにcannon(大砲)が機能しないという科学的な証拠があったとしても、農民たちはそれに何千ドルを投資する」とGolden氏は言っている。

Bruintjes氏はあからさまに次のように指摘している。「地球の回転、太陽のエネルギーおよび海洋からの湿気は、こういった事を引き起こすが、私たちは誰もそれを変えることはできない。 私たちの誰もそれを変えることができないというのは実際よいことだ、なぜなら私たちはそれをおそらくめちゃくちゃにしてしまうだろうから。」


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